実際の未解決の事件をモデルとして真相をフィクションで描く。報道の裏側にある見えていない真実を目の当たりにします。とても考えさせられる映画です。
はりの評価
3段階の星評価
★★
個人的にヒット
これはフィクションじゃけど、真実の可能性もあるって思うてしまうな。フィクションであり、実際に起こりうるリアルを含んどる。
標的にされた企業や家族だけじゃなくて、犯罪を犯した側にも犠牲となった人がおるかもしれんゆう事か・・・。
あらすじ|みどころ
あらすじ
オーダーメイドスーツのテーラーを営む曽根俊也。ある日、父の遺品の中に1本のカセットテープと古い手帳を見つけます。その中にはある未解決事件に使われた子供の声が録音されており、それは幼い頃の自分の声でした。
テープに録音したのは誰なのか?父は犯罪に関わっていたのか?真実を探る俊也と、同じく事件を取材する新聞記者の阿久津が出会います。2人は協力し当時の関係者に聞き込みをしながら真相を突き止めていきます。
みどころ
未解決のまま時効を迎えた事件の真相が35年後に解き明かされようとしています。声を使われた子供たちはどんな人生を送り、今どこで何をしているのか。犯人の目的は何だったのか。犯人は誰なのか。
固く口を閉ざしてきた様々な目撃者たちは俊也の「犯罪に使われた子供の声は私なんです。」という衝撃の告白に次々と口を開きます。真相は明らかになるのでしょうか。
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予告動画
幸せに暮しとっていきなりこんなもん見つけてしもーたら・・・
自分だったらどうするじゃろ・・
これ見たらノンフィクションの真相も気になってくる。声の子供たちはどうしとんかな?この映画を犯人が見たら何か思うんじゃろうか。
スタッフ|映画情報
監督 | 土井裕康 |
脚本 | 野木亜希子 |
原作(小説) | 塩田武士 |
制作国 | 日本 |
公開(日本) | 2020年 |
上映時間 | 142分 |
土井裕康監督の代表作
・映画「いま、会いにゆきます」
・映画「ビリギャル」
・映画「花束みたいな恋をした」
野木亜希子さんの代表作
・ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」
・ドラマ「アンナチュラル」
・ドラマ「МIU404」
アンナチュラルの5話が大好きで何回見たことか!!
うわ!!あの旦那さんじゃろ?!奥さんの顔触るシーンとか、カフェで膝ついてお願いするシーンとか・・・(T_T)
そそそそ!!!旦那さん役の泉澤祐希の演技がうますぎて泣ける!!!同じシーン、何回も何回も繰り返して見よーた(T_T)
キャスト|役名
キャスト | 役名 |
---|---|
小栗旬 | 阿久津英士 |
星野源 | 曽根俊也 |
尾上寛之 | 曽根光雄 |
宇崎竜童 川口覚(若い頃) | 曽根達雄 |
梶芽衣子 阿部純子(若い頃) | 曽根真由美 |
松重豊 | 水島洋介 |
古館寛治 | 鳥居雅夫 |
市川実日子 | 曽根亜美 |
原菜乃華 | 生島望 |
宇野祥平 | 生島聡一郎 |
阿部亮平 | 生島秀樹 |
篠原ゆき子 | 生島千代子 |
水澤紳吾 | キツネ目の男 |
橋本じゅん | ”しの”の板前 |
高田聖子 | 生島望の友人 |
気になった登場人物
阿久津英士…新聞記者
ぶっきらぼうな性格に見えますが、曽根の「真実を明らかにすることに意義はあるんですか?」という言葉に共感を示したり、幸せに生きてきたことに心を痛めた曽根に対し「罪悪感を感じるべきはあなたじゃない」と気遣う心のある人間です。
曽根俊也…テーラーの店主
事件の当事者である事と、人柄の良さで事件の情報を次々と引き出していきます。ともに事件の真相を追う阿久津の存在を受け入れて、阿久津を好きだといえる素直な人間です。
生島望…声を使われた少女
「あのテープのせいで一生台無しや!!」映画の翻訳家を目指す夢をもった女の子でしたがこの言葉の通り、望の人生の全てが奪われてしまいました。
生島聡一郎…声を使われた少年
幼く、何が起きているのかわからないままに人生を変えられてしまいました。姉を失い、母を置き去りにした後悔をかかえ身を隠すように生きていましたが、視力を悪くして職を失い自殺を思い立ちます。
曽根亜美…曽根俊也の妻
夫の抱えた問題を問いただすことなく静かに理解し受け入れました。手帳を燃やそうとしている夫に声をかけなかったところがいいなと思いました。
気になったシーン|感想
ギンガ・満堂事件(1984)
大手お菓子メーカーを相手にした脅迫事件。
現金の受け渡しの際に子供の声を録音したテープを使用した。青酸ソーダをお菓子に混入させたり、マスコミを挑戦状であおり、報道を過大化させた。未解決のうちに時効を遂げた35年前の事件。
映画は社名を変えとるけど、実際の「グリコ・森永事件」の事じゃな。
真実を明らかにする意義
事件の真相を探る阿久津は、曽根に「あなたはいいですよ。関係ないんですから。私は妻も子供もいる。真実を明らかにすることに意義があるんですか?」と問われ意義などないと共感し取材続けることに疑問を感じます。
しかし上司に「意義がないなら意義のある記事を書け」と言われ、曽根からも真相解明の協力を求められたため、取材を続けることになります。実際、真実を明らかにすることは俊也にとって残酷な現実が確信に変わっていく苦しい戦いでした。
犯人の目的
達雄と真由美は社会や警察に不満をもっており学生運動で声を上げていました。ギンガ・満堂事件を利用し、正義を振りかざしているつもりで社会を制裁を与えたかったのです。
結果、世間は騒がせましたが世の中は何も変わりませんでした。ただ、企業やそこに勤めていた従業員や家族、そして脅迫テープに声を使われた子供たちの運命を変えてしまいました。
自殺を思いとどまらせた言葉
曽根が電話を掛けた時、聡一郎は首を吊って死のうとしていました。自殺を止めた曽根の言葉は普通の人生を過ごしてきた人からすればとても何気なくシンプルだったように思います。
僕も事件で声を使われました。
聡一郎さんは元気ですか?
どんな人生を過ごしましたか?
この言葉に聡一郎が「曽根さんは元気ですか?」と、問い返し泣き崩れます。その言葉と様子だけで彼の抱えていた苦しみの全てが伝わってくるようなシーンです。
姉の望が死んだ日からその声の罪を一人で背負い生きてきた聡一郎は「僕も声を使われた子供の一人です。」と言う言葉にどれほど救われたことか。そしてお互いに「元気ですか?」と心情を気遣う言葉があまりにも優しくて涙が出ました。
同じ境遇の人がおることを知った。それが聡一郎の長年きつく硬く締め付けとった苦しい心をスッと解放した感じした。
声を使われた子供たちの人生
曽根俊也の人生
テープの存在を知るまで平凡ですが幸せに暮らしていました。
しかし幼少期の自分が犯罪に関わっていることを知り、この声の罪を背負って生きていくことになります。曽根は自分以外の2人の人生があまりにも残酷すぎて、今まで何も知らずに幸せに生きてきた自分に罪悪感を感じてしまいます。
聡一郎の人生を聞き終わった後、聡一郎に「曽根さんはどんな人生でしたか?」と問われたシーンがとても印象的でした。
罪悪感を感じてしまうよな。何も悪うないのに。
生島望の人生
夢や生活のすべてを奪われ、若くして命まで奪われてしまいました。
何にも悪うないのに・・・
生島聡一郎の人生
生きていましたが自殺を考えるほどの人生を歩みます。
しかし、曽根と阿久津が真実を追い求め、聡一郎を見つけ出したことで、総一郎は命を絶つことなく、さらに生き別れた母親と再会することが出来ました。聡一郎と母親が脅迫テープで望の声を聞き涙する姿がとても切なかったです。
そのテープの存在する意味や言葉の内容など関係なく、ただ耳に届く望の声だけを感じていました。悔しくも望が亡くなった今、2人にとってはこのテープだけが望の存在を証明する尊いものとなったのです。
幼かった聡一郎。目の前で姉を殺され、母を置き去りにして身を隠して生きる苦しさはどれだけのものだったんじゃろうか・・・
望の友人
長く苦しんだ人物はもう一人いました。望から真実を聞かされていた友人です。35年間、誰にも言えず、抱えたものの大きさにどんなに苦しんだことか。
会う約束をした日に現れず、それから2度と連絡が来なかった。今までの話からすると殺されたのではと恐怖と不安と悲しみに押しつぶされるような思いだったはずです。
このことを話そうと思った理由がとてもリアルに感じました。
同じ事件に関わって声を利用された子供が大人になり、結婚をして子供を持ち、幸せに暮している。それなら、望も生きて幸せに暮しているかもしれないと思った。
残念ながら望は人生を最悪の状態で終えてしまっていましたが、最後に友人に「絶対に夢を叶える」と希望のある力強い言葉を残していました。どんな状況でも自分の未来を信じ諦めていない心に感動しました。
この子もしんどかったよな(T_T)よう誰にも言わずに抱えて生きたなーと思う
結末・ラスト
阿久津はイギリスにいる達雄に会いに行き、達雄がしたことの代償がどんなものだったかを突き付けます。達雄は今もなお正しいことをしたと思っていましたが、助けたつもりでいた兄弟が悲惨な人生を歩み、望は殺されたと知りショックを受けます。やっと自分の犯した罪の重さに気付くのです。
曽根は母にテープを録音した人物を問い、それが達雄ではなく母だと知ります。死を目前にした母に対して曽根は正直な気持ちをぶつけます。
僕のことは考えなかったのか?
この声の罪を背負って生きていくんだ
真由美は自分の願いの無意味さと、それにより自身の息子が犠牲者となっていることに気づきます。
気付くのが遅い!!!!!遅い遅い遅い!!!!
この事件の犠牲
結局この事件の一番の被害者は声を使われた子供たちでした。特に事件の発案をした生島の子供だった望と聡一郎は最大の犠牲者です。生島が死んだのは自業自得な要素があります。しかし望の死や、総一郎や母親の狂ってしまった人生は関係がないです。ただただ巻き込まれただけです。
そしてそのことに達雄や真由美は気づきもせず正義だと思い込み生きてきたのです。最後にこの2人に真実が伝わり気づかせたことにも真相を明らかにした意義はありました。
主題歌はUruの「振り子」・動画
この映画の為に書き下ろした曲です。歌詞の中に様々な登場人物の人生が垣間見られます。
歌詞の中にある「独り言(ご)ちて」ゆーのは「独り言(ごと)」のことなんだって!!
そうなんじゃ!初めて聞いた!この曲の歌詞が映画とリンクしとって泣けてくる。
Uruの声、何なんじゃろうな。凄い。このめちゃくちゃ大きい優しさで全身を包み込むような。目の奥から涙があふれ出てくる。切ないような、深い安心感のような・・・暖かくて透明な声!!
あ、ホイどこおったん?おらんのんかおもよーた。
!!!!!(T0T)
全てが揃って実現された映画化
プロデューサー那須田淳さんより
・~・~・~・
原作小説の衝撃的な着想にひかれ、ふたりの主人公に小栗旬さん星野源さんを想い読み進めて4年経ち、Uruさんの主題歌をえたことで映画が完成しました。
引用元:Uru Official Website
揃った!!ゆー感じだったんじゃろーか。
すてきー!!主題歌が書き下ろしっていうのがええわー!!映画を何度も見て作詞・作曲したらしい!!じゃけん最後に流れた時こんなに沁みるんじゃ(TT)
「私は生涯この靴で歩いていく」ゆう歌詞は「この声の罪を背負って生きていく」と重なるな。
『罪の声』原作本
原作は塩田武士さん著です。2016年発売。
2016年 山田風太郎賞受賞
2016年 週刊文春ミステリーベスト10 国内部門第1位
2017年 本屋大賞 第3位
2020年 映画公開
映画ついでに知識+
この映画は実際の事件を題材としたフィクションで、「ギンガ・満堂事件」と被害にあった企業の名前を変えていますが、事件の詳細は「グリコ・森永事件」をモデルに描かれています。
この事件は未解決の為、真相の部分がフィクションです。実際の事件が気になり調べてみました。かなり簡単なまとめです。wekipedia参照
グリコ・森永事件とは?
江崎グリコの社長誘拐事件(1984)に始まり大手食品メーカーを標的にした脅迫事件。
犯人は「かいじん21面相」と名乗り、現金受け渡し場所の指定の電話で子供の声が使われた。2000年2月13日に全ての関連事件(30件)が持効を迎えた。
■標的にされた企業
江崎グリコ・森永製菓・丸大食品
ハウス食品・不二家・駿河屋
■挑戦状が届いた新聞社
毎日新聞・サンケイ新聞
読売新聞・朝日新聞
■主な事件
江崎グリコ社長誘拐事件
江崎グリコ脅迫事件:1億2千万円要求
江崎グリコ本社放火事件
青酸入り菓子ばら撒き事件
寝屋川アベック事件
丸大食品脅迫事件:5千万円要求
森永製菓脅迫事件:1億円要求
ハウス食品脅迫事件:1億円要求
不二家脅迫事件:2千万円ばら撒き要求
駿河屋脅迫事件:5千万円要求
■子供の声の録音が使われた事件
丸大食品脅迫事件
森永製菓脅迫事件
ハウス食品脅迫事件(女の子の声)
※現金受け渡し場所の指定に使われた
■事件の終息
1985年8月7日:ハウス食品事件で不審車両を取り逃がした県警の本部長が自身の退職の日に焼身自殺する。
1985年8月12日:犯人から終息宣言が送られ犯人の動きが完全になくなる。
犯人は現金の引き渡し場所に一度も現れんかったんじゃて。
本当は何が目的だったんじゃろ。恨みが原因という説らしいけど。
真実は誰にも分らんな・・・
最後まで記事を読んで下さり、ありがとうございます(^^)